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 パリ第1夜の夕食はK女史からの提案で近くのカフェに行くことになりました。なんでも
有名なカフェが二軒あるそうで,どちらにしようかとの事。名前がかわいいからとの家内
の意見でカフェ・ド・フロール(花のカフェ)に決まりました。このころから,家内の存在が
だんだんと皆にアッピールし始めてきたのでありました。あー,皆さん可愛そう。

ph-02s.jpg (14045 バイト) とばりのおり始めたパリの街並みに,かつて
のパリ占領ナチス・ドイツの軍靴の音そこの
けに,誇り高き日本民族の足音を高く響かせ,
今まさに行進は始まりました。
めざす凱旋門,じゃなかった,カフェ・ド・フロ
ールへ。

ホテル・アトランティスを今まさに出発せんとする一行
「あー,はらへったー」

 有名カフェはサン・ジェルマン・デ・プレ教会の近く,小路を
挟んで並んでいました。パープルレッドの日覆いがよく目立
ちます。カフェの日覆いの色は市内で統一されているようで,
この後も日覆いを見ただけですぐにカフェだとわかりました。
 左手のがカフェ・ド・フロール。日が暮れて少し肌寒いので
外のテーブルは止め,二階に陣取りました。
 さっそくギャルソンがやってきてメニューを配ります。
 なにやらわからない言葉が一杯並んでいます。コーラなど
はかろうじてわかります。やっと家内の知っている数少ない
フランス語の一つ,カフェ・オーレの字を見つけてまずは一
安心。さっそく注文しました。あとはわかりません。
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なにやらムズいメニュー

 

 でてきたカフェ・オーレはポットサービスでした。ポット二つ
にコーヒーとミルクがたっぷり入っています。可愛らしい包装
にくるまれた小さ目の角砂糖が添えてあります。テーブルに
は一人一人,昔のカフェ・ド・フロールが描かれた紙が敷い
てあります。さっそく家内が目配せをしました。これらもまた
お土産にしようという魂胆なのであります。

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店名のロゴが
入った角砂糖
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        紙ナプキン
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コーヒーとミルクをドドッと注ぐ

 

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キャー,おいひい,おいひい

 

 メニューが読めないのでK女史に注文をまかせ,なるだけ多くの種類の注文をしてもらっ
て一緒に食べることにしました。次々に出てくる料理はサンドイッチ,サラダまではわかりま
したが,あとはぜんぜんわかりません。ただただ心の中でフランス,フランスと唱えながら,
皆でそれぞれ取っ替え引っ換えして食べた結果,お腹一杯になったのです。

 まだ料理は余っています。
 さあ,どうしたものか・・・
 賢明な皆さんがた。さてこのあと,余った料理がどうなったかはもうお分かりでしょう。
 しばらく座って消化を楽しんでいると,もう奥方様は店内の
探索です。 フロアの片隅にあるショーケースの前に立ち止
まり中をしげしげと覗きこんでおります。
 近寄って見ると,店のロゴが入ったしゃれたミルクポット,
スプーンセットなぞが展示してあり,家内の目の高さほどに
コーヒーカップが大中小と上に重ねてあります。どうも家内の
目はそれに釘付けになっている様子。口の中で何か呪文を
唱えているではありませんか。
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昔の店の風景画

 

 「どうした?」
 「えーと,確かフランは円の23倍よね。○○○フランだから円に直すと,○○○○円ね。
んー,大中小三つ揃えてその値段ならまあまあね。買おうかなあ」
 良く見ると『大』の上に乗っかっている『中』にも,またその上に乗っかっている『小』にも
それぞれの受け皿のなかに違ったプライスカードが乗せてあります。家内の背丈では一番
下の『大』の受け皿の中しか見えないのであります。
 「おいおい,ちょっと待った。この値段は三つ合計じゃないよ。その○○○フランは大きい
コーヒーカップの値段だよ。『中』には○○○フランって書いてあるし『小』に○○○フラン。
三つで・・・・・合計で○○○フランだろ。円に直すと23倍して・・・・・○万○千円もするぞ」
 「エーッ,ウッソー。そんなにするのー。うわー,やだー,やーめた」
 高額商品に固執しないところが家内のいいところです。
 「じゃー,これにしよう。このテーブルに敷く紙。私達のはコーヒーのシミがついてしまった
じゃない。ほら,10枚くらい巻いてあるよ。二枚ずつ配っても5軒分にはなるわよ,安いし」
 もう手招きしてギャルソンを呼んでいます。
 「パルドン,ムッシュー。私これが欲しいの,これこれ」
 財布と目的物と自分を交互に指差して言います。なんとか通じた様子です。
 ギャルソンは横のカウンターの引出しから件の紙を30枚ほど取り出しました。
 そして,支払おうとする家内に「ノン,ノン」と手を振って,なんとただでくれたのです。
 得したときの家内は,幸せ一杯のとっておきのいーい笑顔をするんです。
 この笑顔が効を奏してか,またまたロゴ入りタンブラーまで何本か追加してくれました。

 満足してやっと席に戻った家内は,皆に戦利品を分け,皆は家内の真の姿を次第に
認識するのでありました。

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サン・ジェルマン・デ・プレ界隈の夜景

 ホテルへの帰路,腹ごなしにスーパーマーケットを散策し,その後ホテルの部屋へ戻って
きました。食べ残しとともに。
 日本時間では朝だというのに旅の興奮で寝付けず,日本語字幕の出ないテレビ画面を
見るとはなしに見て,やっと明け方近く少しうとうとしました。持ち帰った食べ残しは,結局,
お腹一杯でそのまんま・・・・

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